6月のある日、ラジオ番組の取材を受けました。
むさしのスマイルでは、現状について、
- 問題が解決されないまま、護られるよりどころ(住居・法律)がなくなり、機能しなくなり、精神的に不安定な状況がある。より分断が細かくなっている。
- 情報が後手後手に出てきていて、事態が悪化しているのが伝わっていない。
との考えをお伝えしました。
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Q. むさしのスマイルはどのようなキッカケで立ち上がった支援団体なのでしょうか?
A. 震災後の夏に、東京都武蔵野市に避難した一人のママを、その地域の二人のママがボランティアとして生活のサポートをしたというのがきっかけです。お腹に赤ちゃんがいて、上の子供を二人つれて避難したママを同じママとしてほっとけなかった。当時わが子は幼稚園生だったのですが、今は小学6年生になっています。
Q. そうやって考えると時間が経っていったのですね。
A. はい。その時お腹にいた赤ちゃんは今、幼稚園の年長さんになっています。3歳だった子は4年生、5年生ですね。
Q. しかしながら東日本大震災で避難生活を続けている方は10万人近いですよね。月日は流れましたが、皆さんそれぞれに色々な支援を必要としているのではないですか?
A. 自主避難している避難者の方って、正確な数字がわからないんです。今年の3月末で都で約720世帯という数字がありますが、これは2012年の期限までに避難して応急仮設住宅に申し込み、都営住宅や公務員住宅などに入居できた人の数です。2013年以降、自力で避難して、アパートに入居したり、親せき宅に同居している人は数に入っていないのです。そういった方たちと、どうやってつながっていくのかが私たちの目標です。
Q. 普段はどのような活動を?
A. よらんしょサロンというサロン活動がメインです。武蔵野市と都内各地に出張サロンという形で月に2回ほど実施しています。「よらんしょ」は、福島県中通りの言葉で、ちょっとよっていきなさいよ~という意味です。故郷のなまりでのおしゃべりをするなかで、避難当事者の思いをくみ取っています。
Q. よらんしょ、柔らかい響きでいいですね。
A. はい。とにかく、お茶のみをしながら話をすると、ぽろっぽっと苦しい思いやつらい気持ちが出てくるんですね。それを、学習会や講演会のテーマにしたり、もう少し深い相談につなげたりしています。
Q. 具体的にはどのような悩みや相談が聞こえますか。
A. 悩みは、生活全般です。一人ひとり抱えている問題が本当に様々で、即座に行政につないで対応することが求められる方もいます。とりわけ、自主避難者については、避難元に残っている家族や友人がいますから、避難を続けている自分たちとの間の溝のようなものに心を痛めていますね。
Q. 地震があって、原発事故があって、どうして分断されなくてはいけないんだ、という。僕も福島地裁の傍聴などで、自主避難者の方の切実な状況を伺っています。今年3月いっぱいで住宅支援が打ち切られるなどしていますが、現状はどうですか?
A. 問題が解決されないまま、護られるよりどころ、住居や、法律がなくなったり、機能しなくなったりで、精神的に不安定になっていることが感じられます。家族構成や経済状況によって、3月以降、継続的に居住できる公営住宅に入居できた人もいれば、民間住宅に転居せざるを得なかった人、避難を断念して、避難元に戻った人、選択肢が分かれてしまい、分断がより細かくなりました。結果、ひとりひとりの選択ですよね、ということを言われて、最終的にはこの問題が消えうせるのでは、と心配しています。
Q. そのようななかで、むさしのスマイルとしてはどのような活動を展開、発展していきたいと考えていますか。
A. 今年4月からは、避難当事者によるかたりべ活動をスタートして、避難の思いや、ふるさとの実情など生の声をお伝えすることもしています。今、情報が後手後手に出てきていて、事態が悪化しているのが伝わっていないように感じます。原発事故が消え去ってしまう、過去のことになってしまうのでは、私たちは何だったの?という気持ちになります。福島で起こっているいろいろなこと、特に心配な事象に関して圧倒的に情報が少ないな、と感じます。反比例しているくらい。具体的には、甲状腺がんの子どもの数が増えている。子どもだけでなく、大人も、不調の種類も様々であるようです。
Q. むさしのスマイルを支援したい方はどうすれば?
A. 7年目の今、ひとりひとり必要とする支援がちがい、支援したい方の着眼点も様々だということを実感しています。むさしのスマイルは、その橋渡しをしたいと思います。ホームページには、サロンなどのお知らせを掲載していますので、足を運んでいただければ、実際にお話をしながら、様々な支援の在り方を見つけていただけると思います。問い合わせフォームがありますので、どうぞご連絡ください。ありがとうございました。